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講師:品川区防災まちづくり部河川下水道課 水辺の係 職員
目黒川は品川区、目黒区、世田谷区にかかる約8kmの河川です。そのうち、天王洲アイルの河口から約3.7kmの流域が品川区です。立会川と並び、品川区にとってなじみ深い目黒川。いったいどんな川なのか、船に乗って環境問題の視点で探検しました。
<参加者の声>
- 普段自分たちの出すゴミなどが、思っているよりも重大だったことがわかり、気をつけようと思った。
- 川にゴミをぜったいすてたらだめということがわかった。
- 説明が適切でわかりやすく、面白かったです。
出発場所である東品川二丁目船着場は、防災機能を持った船着場として運用されています。さらにこの特徴的な見た目、実は船着場待合所の壁面は、天王洲を彩るアート作品の一つでもあります。
まずは、目黒川の水質浄化の取り組みについて学び、船に乗って目黒川をのぼっていきます!
運河を進むと、水門が現れました。探検のはじまりを盛り上げてくれました。
進んでいくと、ほとんど水の流れがないことに気が付きました。実はその多くが海からのぼってきた海水で、淡水の量は少ないのだそうです。
川の水量が少ない理由は、潮の満ち引きの影響の他、都市化による影響で地表が舗装され、雨水が地下に浸透しないため、河川本来の水が乏しいという都市河川ならではの特徴があるそうです。
目黒川にかかる橋は全部で28本。そのうち品川区には16本あり、さらにそのうちの10本はライトアップされています。(詳しくは、ヒカリの水辺プロジェクト|品川区)
恐竜の像で有名な子どもの森公園を過ぎると、 “吐口”と呼ばれる大きな穴がありました。戸越銀座商店街の下を通る戸越幹線という雨水排水管が三嶽橋付近で目黒川につながっています。 目黒川には63個の吐口があり、そのうち30個が品川区にあります。
このような吐口はどれも 下水道管等の川の終着点です。普段は雨水のみが流れていて、汚水は下水処理場に流れるため川に流れることはありません。しかし、大雨の時には、下水道管や下水処理場が雨水と汚水でいっぱいになってしまい、市街地が浸水してしまいわないように汚水もこういった吐口から川に流れ込みます。これが川の汚れやにおいの原因となっています。
その結果起きてしまう現象のひとつ「スカム」と呼ばれるヘドロの塊が浮上しています。川底のヘドロが発生したガスによって押し上げられ、においの原因になっています。
目黒川の水をきれいにするために、「御成橋散水事業」では再生水の導入をしています。御成橋から毎時0分と30分に3分間ずつ港区芝浦水再生センターで再生した水を放流しています。
川の汚れを微生物が分解する過程で水中の酸素がつかわれてしまい、酸素のない水域に魚が迷い込んでしまうと、なんと一瞬にして命を落としてしまうそうです。そのため、雅叙園の近くに目黒区が整備した水質浄化施設「高濃度酸素溶解水供給施設」で、川底に酸素を供給することで水質の改善をはかっています。
雨の流入を管理する工夫もあります。大雨が降った時に目黒川への直接放流をおさえるための雨水貯留施設「目黒川荏原調整池」は、なんと20万トンもの雨水をためることができるそうです。
目黒川のたくさんの取り組みについて学びました。目黒川が汚れている原因は川の水量が少ないことや、雨が降ると下水が流されてしまうということだとわかりました。日々の生活で下水に何でも流してしまわないように、自分で自分の町をきれいにする意識が大切だと気づかされました。
(事業担当)