講座概要はこちら
講師:古川恵太[NPO法人海辺つくり研究会 理事長]
海の教室 ブルーカーボン第2弾。今回は~海辺を再生しよう~をテーマに開催しました。
海の環境を保ち、地球の生物多様性を守るために、アマモなどの海草がとても大切な役割を果たしています。この講座では、アマモの特長や性質、命のつなぎ方を学び、後半はそのアマモのタネや葉を混ぜた紙すき作りに挑戦しました。
<参加者の声>
- アマモのことを知れて勉強になりました。
- 海の環境問題について考えるきっかけになったのでよかったです。先生の説明がわかりやすく、色々なお話しが聞けて面白かったです。
- 初めての紙すき体験で子供が積極的に参加できました。とても楽しんでいました。
前半
まずは、身近な東京湾や品川の海のお話しから。今の東京湾の形になったのは20世紀になってから。ここ戸越も昔は海でした!
「今の品川区に海辺はどのくらいあると思いますか?①ない ②約5km ③約60km」
答えは②。海辺は約5km(正確には6.7km)しかありません。
海の中には草以外に藻が生えています。藻は種をつけない植物で、地球ができてから一番最初にできた生き物のひとつと言われています。一方、アマモは種をつける種子植物。水深2mほどの沿岸砂や干潟があるところに生える海草の一種です。
今回は実際にアマモを持ってきていただきました!
「アマモは根っこがあって葉っぱがあるから陸上の植物に似ているけど、陸上の植物にあってアマモにないものは?」 実際に触りながら考えてみます。
答えは「茎」。アマモは水の中に浮いてしまうので、茎がなくても大丈夫。よく見ると葉の中に筋(スジ)があって、これで栄養を巡らせています。
普段はこのまま葉っぱだけど、実は種をつけます。アマモの種は細長い形で縦に筋が入っています。
植物の種は、環境が悪くなってそこで生きていけなくなっても、違うところに移動できる移動手段になります。陸上の種もそうですよね!種を取っておけば、好きな時に好きな場所に植えて、花を咲かせることができます。
アマモの種は、淡水が供給されるなどさまざまな条件が揃わないと芽がでません。アマモが命をつなぐためには、一見複雑そうに見える「自然のバランス」が大切なのです。
後半
アマモについて学んだあとは、アマモのタネや葉を混ぜた紙すきに挑戦!紙の材料は牛乳パックからパルプを取って作っていきます。数日前から水に浸しておいた牛乳パックの両側の薄いビニールをはがして、細かくちぎってミキサーでさらに細かくします。
準備しておいたハガキサイズの木枠に流し入れて敷き詰めていきます。
アマモのタネや葉っぱを入れたり。
キラキラのデコレーションをしたり。最後にスポンジで、ぎゅーっと水気を取って乾燥させます。
乾燥させている間に、海についての夢や、海に行って見たいもの、やりたいことをみなさんに発表してもらいました。子どもたちの言葉に答える古川さんの言葉からも学びがありました。
『いろんな魚をみたい!』
→泳いでいる魚だけでなく、海底に這いつくばっている魚もいます。もぐったり、釣りをしたり、いろいろな方法で魚が見られるので試してみてください。
見る方法もいろいろあります。環境に配慮した材料やリサイクルしたものを使うとか、なるべくごみが出ない方法にするとか。考えることも1つの重要なことです。
『貝を食べられるだけ取って食べたい!』
→「食べられるだけ」はとても重要です。潮干狩りに行くと貝が取れるのが嬉しくて、ついたくさん取ってしまうけど、食べきれないと無駄になってしまうからね。
『海で泳ぎたい!』
→海の中で水を飲んでしまうことがあるけど、しょっぱくってびっくりするよね。でもしょっぱいだけではなくて、栄養がいっぱい入っているから、みんな元気になると思いますよ(笑)
『本物のアマモを見たい!』
→浅いところに生えているので、お子さまでも安全に行ける海があると思います。近くだと千葉の盤洲(ばんず)干潟。横浜の海の公園も少なくなってしまっているけど、見られると思いますよ。
『きれいなサンゴを見たい!』
→少し南の方に行かないと見れないね。サンゴの海は水がすごく透明で綺麗。ということは栄養分が少ししかないということです。もともとはものすごく栄養分があったけど、生き物がたくさんいるから、栄養分を使ってしまう。水が透明できれいなのは生き物がたくさんいるからですよ。
アマモが見られる浅瀬の海は、少し足をのばせば観察することができる身近な環境です。まず、手のとどく環境を大切にすることを考えてみてください。これからの私たちは、地球上の多様な命といっしょに生きていくために、環境に配慮した生活にシフトしていく必要があります。たくさんの生き物が暮らせる海をみんなで守っていきましょう!
2024年9月22日開催「海の教室 ブルーカーボン第1弾~海辺のいまを調べよう~」のイベントレポートはこちら
(事業担当)