講師:小林 宙[鶴頸種苗流通プロモーション]
日本に昔から育てられてきた野菜がなくなってしまうかもしれない。
そんな野菜の“タネ”の現状と、保全のための取り組みやその意義について学びました。野菜・果樹・穀物はもちろん、畜産業の飼料もタネがなければ生産できません。身近だけど考える機会が少ないタネについて考えました。
<参加者の声>
- タネには大きく分けて2つあることを知っておどろいた。楽しかったです。
- 子どもは苗植えが楽しかったようです。大人は講座がおもしろく、親子で楽しめました。
- ちょっとむずかしかったけど、ここにこなかったら知ることのないことを知れてよかった!
タネには大きく分けて2種類あります。野菜の商品としての品質を均質化しやすいけれど、次の世代のタネの品質にばらつきがある「一代交配種」と、野菜の見た目にばらつきがあるけれど、次の世代のタネをとることができる「固定種」です。工業製品のように均質さを重要視するあまり、日本各地で昔から栽培されてきた固定種の野菜が市場から姿を消しているそうです。
固定種の野菜が一代交配種と比べて、見た目のばらつきがあり均質性がないことの背景には、その野菜が遺伝的に多様であるということがあります。病気に強いタネや弱いタネ、暑さに強いタネもあれば、寒さに強いタネもあるかもしれません。それが気候変動や食の変化のリスクに対応できるポテンシャルにつながります。
地域を旅して日本各地で昔から栽培されている「固定種」の野菜のタネを集めるご自身の活動を紹介してくれました。
「固定種」の野菜は、同じ品種でも見た目に違いが生まれます。
「野菜の違いがわかるかな?」見た目の違いをみつけるクイズを通して理解を深めました。
座学のあとは、3階の菜園デッキに移動して野菜の植え付け体験です。
「固定種」のタネから育てたそら豆の苗を植えました。土を触る体験も楽しいですね。
「大きく育ってね。」植えた苗にお水をあげました。成長の様子をぜひ見に来てくださいね。
(普段は立入禁止の菜園デッキですが、職員にお声かけいただければご案内いたします。)
講座の最後には講師より絹さやえんどう豆のタネのプレゼント。タネを蒔いて、芽が出るのが楽しみですね。
講師の小林さんは現役大学生です。エコルとごしに遊びに来てくれる子どもたちにとって、お兄さんのような年齢の方からの経験談はイメージしやすいようで、質疑応答も盛り上がりました。小学生の頃から好きなことを続けられて、講師として子どもたちの前に立つ姿に、子どもの興味や関心の芽を摘まないような、家族やまわりの方の応援も大切なのだと感じました。
今回は講座を通して野菜のタネに注目しました。市場に並ぶ商品の中から姿を消してしまうまでにはさまざまな理由があり、その一つは私たち消費者の選択です。見た目の美しさや均質であることも大切ですが、様々な色や形も個性的で多様性の魅力だと感じると、「固定種」の野菜の価値も高まっていくのではないでしょうか。
私たちにできることは、まずはタネの多様性の大切さを知ること。気候変動やそれに伴う食生活の変化に備えた未来への種蒔きが、今必要とされています。
(事業担当)