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講師:金城 由希乃 [ジーエルイー合同会社 /株式会社マナティ]
ますます日差しが厳しくなり、日常生活でも日傘や日焼け止めが欠かせないシーズンがやってきました。みなさんはどんな日焼け止めを使っていますか?今回の講座では、日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤がサンゴに与える影響について、沖縄在住で「サンゴに優しい日焼け止め」の開発者でもある金城由希乃さんから、沖縄の海洋環境も交えてお話を伺いました。
<参加者の声>
- 今回の講座を通してより一層環境問題への理解が深まった気がする。
- 学びが多く、小さな行動でも地球のために人のためにチャレンジしようと思いました。
- 講師の方や参加者の方と交流しながら興味を深められてよかった。
ある日、日焼け止めをつけて海に入ろうとしたときに「サンゴ死んじゃうよ」と言われた一言をきっかけに、観光と環境問題ついて取り組みを始めた金城さん。まずは沖縄の海と陸の環境問題について、リアルな現状をお話しいただきました。
沖縄の陸地では…
野生生物の交通事故・希少生物の密猟・動物と植物の外来種問題・乱開発など挙げられました。特に植物の外来種については、緑の砂漠化と言われ、植物たちが光合成しにくいほど増えすぎてしまっているところもあるそうです。
沖縄の海では…
漂着ごみ・オニヒトデの大量発生・サンゴの白化や踏み荒らし・赤土の流出などが挙げられました。赤土はたくさんの栄養が含まれていますが、海では水が濁り太陽があたらなくなるのでサンゴにとって光合成がしにくくなります。
ここから今回のテーマ「海の環境と日焼け止め」について、具体的にお話が進んでいきます。
沖縄は観光業が盛んなため「海はきれいだけど、サンゴが弱ってるよ」とは言いませんが、実際はこの30年で約50%のサンゴが死んでしまっています。日本最大のサンゴ礁海域の石西礁湖は、白くて(白化)きれいに見えますが、96%くらいが死に向かっています。
日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤の成分「オキシベンゾン」と「メトキシケイ皮酸エチルヘキシル」がサンゴ礁の白化の原因となることがわかっています。ハワイではこれらの化学物質を含む日焼け止めの使用が禁止されています。
白化の原因は、他にも海水温度の上昇(人間と同じで暑すぎると苦しい…)やオーバーツーリスト(サンゴは踏んだら死んでしまう!)があります。
そもそもサンゴとは『動かない動物』と言われており、「褐虫藻」という植物プランクトンと一緒に住んでいます。この褐虫藻が光合成をしてサンゴにエサ(栄養)を与えています。そして、サンゴは『海の森』とも言われいて、アマゾンと同じくらいCO₂の削減能力が高いそうです!
これだけ地球環境に貢献してくれているサンゴ礁が白化すると、海洋生物など海の生態系が崩れてしまい、地球環境に大きな影響があるにも関わらず、大きく取り上げられませんでした。そこで金城さんは、シンプルでわかりやすい商品名にすることでサンゴの問題に注目してもらうことに成功しました。その後、海のごみ問題にも活動を広めています(プロジェクトマナティ)。
海の環境問題のほかにも、日本が抱える社会問題は検索をすればたくさん出てきます。少子高齢化・ハラスメント・老老介護・後継者不足・食品ロス…。今回は金城さんと事前に打ち合わせをし、海の環境問題に限らず、参加者のみなさんと世代関係なく、気になる日本の社会問題についてディスカッションをしてもらうことにしました。
- 「環境問題対策の商品を広めるにはどうしたらいいかな」
- 「亀がマイクロプラスチックを食べてしまう、海洋汚染が気になる!」
- 「仕事に関係するなど身近な問題は意識が向きやすいよね」
少し気になっていた問題を話してみると、もっともっと興味が膨らんでいくことを実感するディスカッションになりました。
最後に金城さんご自身の経験から、
「世の中にアクションを起こすことは気軽にできる。研究者になる必要はなく、研究者の情報をきちんと学んで実践する。みんなで力を合わせて色々な方法でアクションしていけたらいいですね!」と、背中を押してくれるメッセージをいただきました。
沖縄旅行に行った際は、ぜひ観光×地球にやさしい遊びを楽しんでください♪
(事業担当)